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Kyoto Sanga F.C. & Takarazuka Review and etc.

「J22」を考える

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今期のJ3リーグが終了しました。
「J」とついたものの、「Jリーグの3部」とはみなさないとか、結局扱いがあやふやなまま終わったような印象があります。…該当チームのサポーターや関係者の方にとってはどうだったかについてはもっと別の考察が今後どんどん出てくるでしょうし、成績はもとより、所謂「育成チーム(J22)」そのものについての考察も、このオフシーズンのうちに沢山出てくると思います。

今回、私が書くのはこの「J22」の、あくまで成績以外の数字についての部分です。
具体的に言うと、どのJクラブがこの制度をどの程度利用(して若手を派遣)したのか、という部分です。

クラブ別派遣数

J3、全33節でJ22に招集されたのはのべ518人(招集されたものの辞退した選手は除外)でした。次のグラフは518人の内訳ですが、清水の比率が特に際立っています。

招集数内訳

招集数内訳(クリックで拡大)

選手リストに選手を載せたクラブはJ1/J2全38クラブ中、35クラブ。また、選手登録はしたものの、派遣がなかったのはセレッソ(秋山大地)と北九州(渡大生)。また、詳細は個人別のところに回しますが、一旦登録されたものの、一度も招集されなかった選手は(秋山と渡を含めて)21名です。

個人招集数

重複を省いて、今シーズンJ22に招集された選手は98人、うち、10回以上招集された選手は15人(うち2人がGK)となりました。

選手名 所属 招集数 合計出場時間
柏瀬 暁 清水 FW 17 777
前田 凌佑 神戸 MF 14 1027
平 秀斗 鳥栖 FW 14 730
高木和 徹 清水 GK 14 564
加賀美 翔 清水 FW 13 667
和田 倫季 神戸 MF 12 717
和田 達也 松本 MF 12 628
高橋 祐治 京都 DF 11 990
大山 啓輔 大宮 MF 11 917
内山 裕貴 札幌 DF 11 743
平岡 翼 F東京 MF 11 270
喜田 拓也 横浜FM MF 10 692
三根 和起 京都 FW 10 648
宮内 龍汰 鹿島 MF 10 500
吉丸 絢梓 神戸 GK 10 405

トップは清水の柏瀬。
名古屋の小屋松が負傷した直後から連続して呼ばれており、終わってみれば17試合。名古屋は小屋松の負傷と前後してチームにけが人が多い時期もあり、もしこれらの要因がなければ小屋松が継続して呼ばれ続けていたのではないかと思います。
京都の三根和起はJ3の長野からシーズン途中に京都に復帰、J22に招集されるようになったものの、終わってみれば二桁招集でした。
1回以上招集された選手の招集回数(横軸)と平均出場時間(縦軸)のグラフを作ってみました。まずはGKを除いたグラフから。

FP招集数と平均出場時間

FP招集数と平均出場時間

GKでは柏瀬と同じく、清水の高木和が招集回数としてはトップでした。
GKのファーストチョイスとしてコンスタントに呼ばれていますが、この育成チームで、かつGKというポジションゆえ、出場時間は平均して少なくなっています。
先ほどのグラフからGKのみ抜き出したものを次に貼っておきます。だいたい45分前後の出場時間です。

GK招集数と平均出場時間

GK招集数と平均出場時間

また、先に書いた「一度はリストに掲載されたものの結果として招集回数ゼロ」の選手ですが、J1の中断期間に何名か所謂「ガチメン」招集があったため、思ったよりも少ない21名でした。

クラブ POS. No. 選手名
J2 東京V GK 32 ポープ ウィリアム
J2 京都 GK 29 杉本 大地
J1 新潟 DF 27 松原 健
J2 札幌 DF 6 前 貴之
J2 湘南 DF 26 亀川 諒史
J2 松本 DF 13 犬飼 智也
J2 福岡 DF 2 三島 勇太
J1 浦和 MF 26 関根 貴大
J1 C大阪 MF 26 秋山 大地
J2 水戸 MF 2 広瀬 陸斗
J2 千葉 MF 22 山中 亮輔
J2 横浜FC MF 19 小野瀬 康介
J2 富山→FC東京 MF 33 中島 翔哉
J2 熊本 MF 38 橋本 拳人
J2 大分 MF 11 為田 大貴
J2 大分 MF 14 松本 昌也
J2 大分 MF 29 風間 宏矢
J2 東京V FW 16 南 秀仁
J2 富山 FW 9 白崎 凌兵
J2 福岡 FW 14 金森 健志
J2 北九州 FW 14 渡 大生

クラブ別派遣数(金額ベース)

ちょっとやらしい話、派遣にかけた金額も見てみます。シーズン前の報道の通り、選手1人につき招集1回あたり35,000円とした場合の各クラブがJ22に支払った金額の合計は18,130,000円…1813万円となりました。…結構な人件費と見るか、J1の中堅選手1人分程度と見るか。まぁぶっちゃけこの「一人頭35,000円」よりも「集合場所までの交通費」の方が明らかに、それもべらぼうに高くついてることは想像に難くないです。直前に通知されるから当然早割なんてないし。

さて、その負担額は上から順に次の通りです。

招集数 金額
清水 64 ¥2,240,000
京都 45 ¥1,575,000
神戸 38 ¥1,330,000
札幌・名古屋・松本・広島 29 ¥1,015,000
柏・G大阪 24 ¥840,000
鹿島 23 ¥805,000
横浜FM 19 ¥665,000
FC東京 18 ¥630,000
磐田・鳥栖 14 ¥490,000
山形・大宮・横浜FC 12 ¥420,000
千葉 11 ¥385,000
新潟・湘南 10 ¥350,000
群馬 9 ¥315,000
水戸 8 ¥280,000
熊本 7 ¥245,000
福岡 6 ¥210,000
仙台・徳島 5 ¥175,000
浦和・富山 3 ¥105,000
東京V・愛媛・大分 2 ¥70,000
C大阪・北九州 0 ¥0

清水が唯一の200万円超え。
ついで、途中と終盤では招集数が伸び悩んだとはいえ、京都が150万円超え。100万円以上150万円未満の5クラブを加えて、全1800万のうち50%弱の900万円をこの上位7クラブで占めていることになります。

また、各クラブの増加率は次の通りです。

クラブ別招集数推移

クラブ別招集数推移(クリックで拡大)

途中にある黒い太い線は50万円刻みのラインです。

清水がコンスタントに派遣数を伸ばしている様子が伺える他、シーズン当初にハイペースで派遣していた名古屋が小屋松の負傷と同時に伸びが鈍化しているのが顕著です。
また、サンガの場合はバドゥ前監督解任後の森下代行監督の時期が目に見えてフラットになっています。で、川勝新監督就任と同時に派遣が再開されている様子がはっきりと出ています。

出場時間で割ってみた

次のグラフはクラブ別の「出場時間数」の割合です。そりゃ沢山派遣してるチームの数字が大きいのは当たり前です…が。微妙に先ほどの「招集数」とは差があります。

累計出場時間(クリックで拡大)

累計出場時間(クリックで拡大)

各クラブごとに出場時間の平均値を出したものが次のグラフです。
濃い緑が全選手の平均出場時間、薄い緑はGKを除くFPの平均出場時間です。GKを除外したデータを作成したのは、GKはいくつかの例外を除いて概ね45分で交替しているため、GKを派遣しているクラブの平均出場時間はFPのみのクラブに比べて若干短くなります。

平均出場時間(クリックで拡大)

平均出場時間(クリックで拡大)

で、これで何が出てくるかというと、90分=35,000円とした時の出場時間1分あたりの金額が出てしまう訳ですよ。
色は同様に薄い緑がFP、濃い緑がGKです。

出場時間単価

出場時間単価(クリックで拡大)

もちろん、金を払えば出してもらえるという仕組みではないし、全員が平等に同じ時間出場したりするわけがないので、負担金の割に出場(経験)が得られないのはある意味仕方のないことだと思います。○分以上出してくれないなら派遣しません、なんて断り方がまかり通るわけでもないし、また逆に○分出たから割増料金払えなんて話が成り立つわけもなし。
そんなことは金銭面ほっといて、呼ばれてる選手が一番よくわかってることだとも思います。
また、得点なども加味すると、単純に1分あたりの単価を出す意味はないのかもしれません。これ見ると富山は派遣回数が少ないのもあって出場時間あたりの「経費」がずば抜けてるし。なのでこの数字はあくまで参考値です。
とはいえ、GKを派遣するのとFPを派遣するのとでは実質的な経費は倍くらい違う、と。

無理やりまとめ

正直、このシステムがどれだけ有効なのかは私自身とっても懐疑的です。やる前は「とりあえずやってみれば(だめなら見直せば)いいじゃない」と思ってたけど、これは…うーん…

  • J3というリーグが22歳以下の「クラブの主力でない選手」にとってどの程度底上げ効果があるのか(今シーズンの成績含め)
  • 代表戦よりも短い練習期間で試合に挑むことについて
  • 「メンバーはある程度固定する」と言われていたが、1/3以上(11試合以上)呼ばれていた選手が11人(50%となると柏瀬一人)というのは固定されていたとみなすのか
  • 対戦相手として見た時に、スカウティングの効果が著しく低い(顔ぶれが毎試合コロコロ変わる)
  • J1中断期間の所謂「ガチメン」と当たるチームは正直不運なのではないか(通常チームとの力量差がありすぎる件)

シーズン前から言われてたこともありつつ、やっぱり1年やってみて…「よかった! 来年も継続してやろう!」と両手を上げて歓迎出来るシステムかといえば、少なくとも私にはそうは思えなかったというか。
身も蓋もない言い方をすれば「無いよりマシ(多分)」。偉そうなことを書きながら、1試合もJ22の試合を見に行ってないからそう思うだけなのかなぁ…。
個人的には金銭面等の問題がクリアになるのなら、かつてのサテライトリーグを復活させた方がいいんじゃないかと割りとマジで思います。今でもSULはやってるけどさ…。

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