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Kyoto Sanga F.C. & Takarazuka Review and etc.

宙組『神々の土地(新人公演)』宝塚大劇場

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本公演の感想より先に新公の感想から先に(忘れないうちに)メモしておきます。最近の新公はずいぶんとレベルも高く、新公らしいどきどきとかが(いい意味で)ないことが多いのですが、今回は良くも悪くものびしろが大きいというか、誤解を恐れずに言うなら修正点がかなり多い新公でした。

・・・まぁそれも含めての「新人公演」なので、完璧なものは求めてないといえばそうなんですが。

無難な冒頭

冒頭のニコライ二世暗殺未遂の場面、あそこは本公演でも回想のドミトリーをもえこがやっていたところ、新公でもそのままもえこがやっていました。本公演では開園挨拶の際には拍手を入れないように、というのが徹底されているけれど、新公ではどちらつかずでまばらに拍手が入ってしまったのが・・入れるにしろ、入れないにしろ、中途半端が一番不恰好だなぁ・・とこれは客席側への周知の問題かな、と。

続いてセルゲイ大公邸での場面、ここはジナイーダ役のまいあちゃんがほんとに可愛くて。今回せーこの役なので、歌も多く(実は今回の公演で歌声ソロで聞ける人は意外と少ない中で声の出番はかなり多い)、まぁコンでもファントムの楽曲歌ってたのでもっと歌のある役が回ってくるといいなぁと思っていた矢先なのでこれはうれしい配役でした。

それでですね、今回ヒロイン(名目上はヒロイン立場ではないのかもしれないけど実質ヒロインだと思うので遠慮せず書きます)の夢白あやちゃん。大抜擢に応える立ち姿の綺麗さでびっくりですよ。終焉後のラインナップの立ち位置見てさらにびっくりですよ。そんな端っこ(下級生)なの!? っていう。いやぁ、お綺麗でした。

この時点でうすうすわかってはいたことですが、今回本役さんのほうが(主要メンバーは特に)体が大きいので、もえこはまあくんの袖が余っているし(袖飾りの衣装が多いので詰められない)、あやちゃんは裾を踏みはしないかとものっすごく冷や冷やしたし(そして胸元がスカスカ)、こってぃはこう・・厚みが足りない感じがぬぐえないしでですね・・。

そして雪原の場面に移ってから、いよいよこの作品の技術面での要求レベルの高さが浮き彫りになっていきました。

小道具が多い!

パーティーの場面では手持ち小道具があやちゃんのウォッカくらいのものだったのですが、雪原になると、まず猟銃(2発ごとに弾込め必要)を持って出てくるもえこが、焚き火のそばで①猟銃を降ろし②マフラーを取り③手袋を外し④ポケットからシガレットケースを出し⑤その中からタバコを出して口にくわえ⑥シガレットケースを戻し⑦ポケットからジッポを出し⑧タバコに火をつけてまたジッポをポケットになおす・・・って言う一連の流れをイワン(水香依千)と話しながらやらないといけないんですよ。いやぁ・・いっぱいいっぱいな感じでした。これをさらっとやってのけるまぁくんすごい。さすがトップさん。さすがの芸暦。

衣装が繊細すぎる

ゆーりちゃんの衣装、初日からずっとゆーりちゃんの背中の美しさをこれでもかと見せ付けてくれている背中の飾りですが、あれ、めちゃくちゃ扱い難しいんや・・と新公でしみじみ。背中のあのチェーンかな? が途中で切れてしまったのか・・

あと、あやちゃんの髪飾りが落ちてしまったので、いったい誰が拾うんだろう・・と冷や冷やして追ってしまいました・・結局、次の場面でさよちゃんのドレスの引き裾に引っかかったまま持って行かれたので結果オーライか・・

りずちゃんははまり役だった

りずちゃんは本公演では皇太子アレクセイで、ツィンカでのあの高飛車な嫌な子っぷりがすごかったのですが、皇太后になったときの貫禄がすっしーさんとは違う方向に貫禄を積んだな、という感じの皇太后でした。一方の秋奈皇帝は本公演のまっぷーとほんとに雰囲気を似せてきていて、気の優しい皇帝でした。いっぽうのさよちゃんはりんきらとはまた違った形に感情が固定されている皇后で、どっちも「能面のよう」なんだけど、その表情は違うというか。

任官式はやっぱりかっこいい

本公演でもあの場面だけちょっと浮いてるんじゃないかと思う突然のトップアイドルドミトリーなわけですが、新公でもそのままあったので、わぁ、もえこが大階段の真ん中に立っているよ・・・! っていう(いや、新公主演なのでそういうものですが)謎の親心がぶわっと。

酒場は玉石混合

ラッダをまどかちゃんがやることについては正直私はもったいないと思う、というか、時期トップ娘役就任が決まっている中で、今後(トップ娘としては)おおよそ回ってきにくい役をやるという意味ではよかったと思うけれど、かといって本公演であの立ち位置で出ているのに、果たして新公でもこれだけ大きめの役をやるのが(新公という限られた下級生の機会という意味で)適切か、といえば疑問があります。他の子にまわしても良かったんじゃないかなぁ・・。

今回、もえこもこってぃもあまり早口での台詞が得意ではなさそうなところ、早口なのにものっすごく聞き取りやすかったのがゆいな(本役ずんちゃん)でした。

一方、あっきーの役をしていた真名瀬くん。あっきーよりさらに気が弱そうで・・ゆいなにまったく勝てる要素が見つからない・・というか、全体的に薄幸な雰囲気があふれすぎてた(実際薄幸だけど)

この場面はミーチャがマイクを落としてしまうという痛恨のミスでな・・本人が気に病まず、次の糧にしてくれることを願うばかりです・

ラスプーチンが健康そうだ・・!?

新公の配役が出て、本公演の幕が開いて以降、実はずっと心配していたあーちゃんのラスプーチン。愛ちゃんのラスプーチンがあの狂気ぶっちぎりなので、これをあーちゃんがやったらどうなってしまうのか(すみれコード的な意味で)と思っていたのですが、あれ・・愛ちゃんのほうがよっぽど気持ち悪い(※愛ちゃんに対する賛辞です)・・ってなりましたね。別にあーちゃんが下手とかそういうのではなく、愛ちゃんが凄い。愛ちゃんのラスプーチンはほんとに口角泡を飛ばす、っていう雰囲気がすごく出ている不健康そうなラスプーチンだったのですが、あーちゃんはどんな動きをしても実は体幹がぶれてなくて・・このラスプーチン、実はどこかのエージェントなんでは!? みたいな。

それにしてもあんなけ撃たれても刺されても動き続けるラスプーチンはゾンビか何かだろうか。虐げられてきた平民たちの魂の具象化、っていう位置づけなのだろうけれど・・ちょっとあの・・ベルばらアンドレを思わせる不死身っぷり。

こってぃの株価がストップ高

フェリックスがやっと銀橋で歌うんですが、こってぃも場慣れしてきたのか、既に喉も温まった状態で歌うからか、声もどーんと出ていて立派だなぁ・・と思っていたのですが、まさかこの後こってぃが渾身のアドリブで場を持たせることになるとは・・・

ドミトリーがイリナを尋ねた翌朝、尋ねてきたフェリックスを家令が出迎えるあの場面で・・いとゆが出てこない・・!? いやいや直前の場面で出てましたやん。引っ込んだ上手側からまた出てくればいいのに何で!? と客席の緊張感MAX。オケも尺を長めに取り始めるし、こってぃもものすごく動揺しているだろうにあえて「待たせやがって」な部分を前面に出して「待たされて苛立つ貴族」な風体にして・・いとゆは遅れて出てきたけれど流石に動揺がひどいのか台詞が出てこず・・ここでこってぃが「勝手に上がらせてもらう!」とアドリブを入れたところでやっといとゆの「散歩に」が出てきたので結果としてはちゃんと場面が変わったのですが・・なんだったんだろう・・今回あちこちでマイクや音声のトラブルがあったからそんなんかなぁ・・カサブランカでかちゃが銀橋で台詞を飛ばしていっちゃんとつないだあの場面を思い出してどっきどきでしたよ・・。

その音声トラブルといえば、フィナーレではもえこのソロが録音で流れるはずが、出だしが遅れて・・あれ? まさかの生声? いやでもその後出てこないといけないから録音だよね・・?

総括

もえこが修正点たくさん、といっていたけれど、確かにこれは修正点の多い新公でした。求められるレベルが手先の技術だけでなく、役柄の掘り下げとか、ウエクミ先生らしい、余計なことは喋らせない脚本だから結局芝居で見せるしかない部分も多くて、これで成長できたらきっと経験値としては大きくなるだろうなぁ、と思う新公でした。

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