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Kyoto Sanga F.C. & Takarazuka Review and etc.

宙組『風と共に去りぬ(新人公演)』宝塚大劇場

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宙組93期のラスト新公を見てきました。

スカーレットが男役の女装である必要性を感じないっていう本公演へのブーメラン的な新公であったと思います。最初からこれかよ、って話なんだけども。正直りくのバトラーよりもかのちゃんのスカーレットがすごくよかった新公でした。
男役がスカーレットを演じる必然性がどこにあるのかと考えてみたけれど、「風と共に去りぬ」の時代背景である1860年代の「進歩的な女性」は現代の、これを演じている20世紀も後半生まれの女性たちにしてみれば(確かに奔放ではあるけれど)独りで立とうとする姿は奇抜でも奇異でもなんでもない訳で。『とりかへばや物語』に見られるような、「女性が一人で物事を判断して生きていくことはできない」という前提の元で、「もしそういう生き方が出来る女性がいるとすればそれは女性として生きてきた女性ではない(男として生きた時代がある特殊な女性(=男役)だから可能なのである)」っていう論調に通じる所があると思った次第。

でもそれってもう時代遅れなんじゃない? っていう。

そりゃ確かに女役(娘役)は「娘役」というものを生きてるし、男役は「男役」というものを生きてる。…ここらへんは職業というよりも一歩踏み込んだロールプレイング的な要素があると思うのだけれど(夢を売るフェアリーとしての舞台を降りた場所での立ち居振る舞いであるとか)、「中の人」は紛れも無く「現代の女性」な訳で。
今回、かのちゃんがスカーレットを演じきったし、すごく良かったと思うのは、WMWで女だてらに(宝塚的な男役に添う可憐な女性ではないという意味で)バウンティハンターをやっていた経験も生きてたと思う。でも元をたどればそういう「男役に添うだけの女性」ではない「自分の意志で立つ女性」っていうヒロイン像がもう宝塚歌劇でも広く受け入れられて、作品としても出てきているんだからスカーレットだってその一つであっていいんじゃないの? っていう。
男役の女装を楽しむっていう層が一定数いるのも事実で、話題性が大事なのもわかる。私も男役の女装、好きだし。でもスカーレットが男役の女装でなければならない必然性って何だろう。「娘役には演じられない」とする根拠は何なんだろう。男役が女装する「必然性」が話題先行以外では感じられない。ましてバトラー編なのに。スカーレット編なら、「主演だから男役が女装してスカーレットやります」っていう必然性があるんだろうけれど…うーん。

バトラーとスカーレット+α

りくバトラーは声がすっごく好みでした。いやほんとに。声すっごい良かった。お化粧は…え、それでいいのん? とちょっと思ったのですが。歌にしても、銀橋でちょっと音迷子になった気がしないでもないけれど、すごく…大きくなって…と(なにその親心)思いました。立派な「ラスト新公」であったと思います。

かのちゃんのスカーレットはなんせ出ずっぱりに近いくらい出番があって、大変だったとは思うのだけれど、新公ヒロインも回数を重ねて、バウヒロインもやったことで明らかに「貫禄」が出てきて、そこへ来てのスカーレットが本当に当たり役であったと思います。最後の絶叫もすごく…すごくよかった…!
1幕最後の陽はまた昇ると歌い上げる所もとっっても良かったんだけど…良かったんだけど…うん。その後があの鼓笛隊で完全に余韻が吹っ飛んでしまったのが本当に残念すぎる。

1幕と2幕の間の場面転換や衣装・お化粧のチェンジにかかる時間がどうしても連続して上演する新公では取れないのはわかる。そのためのツナギが必要なのもわかる。でもなんでそこでトップさん含め、本役さんが鼓笛隊なんて格好で銀橋に出てくるのか…!
不満といえば不満で、楽しいといえば楽しい。だから余計にもやもやする。
不満というのは紛れも無く、余韻ぶち壊したから。…すごくいい1幕ラストであったのに…何故ここで瞬時に爆笑の渦になってしまったのか…。
でも先頭で指揮+笛の悠未さん、次に小さいからだに大太鼓担いだメラニーみりおん、真ん中にシンバルの緒月ベル、サックスのバトラーかなめさんとフルートのスカーレットまぁくんと続いて、お衣装は鼓笛隊(新公は鼓笛隊の場面なかったし)で、頭は本公演のそれぞれのカツラとメイクで…そりゃ目を引きますよ。そりゃ面白いですよ。聞けば昔はそういうこともあったんだそうな。
でもなぁ…うーん…。

マミーのアリサがほんっとうに良かった。今回の新公、アリサとかのちゃんで後半が締まったと言っても全然過言じゃない。ラスト新公なのにマミーか…いや、マミー出来る人他にいないんだろうけど…でもマミーか…とかいうこっちのもやもやを完全に吹き飛ばす名演でした。これはスゴい。ほんっとうに第一声から最後まで全くブレない「マミー」でした。これはいいものを見た。

スカーレット2のしーちゃん、歌が上手いのは知ってたけれど、かのちゃんとの「うーらーおーもてー♪」な所とかすっごい可愛かった。奔放なスカーレットの内面の代弁者としてキャピキャピしてる所はうららちゃんよりもせーこちゃんに近かったような印象。

アシュレとメラニー

とにかくアシュレの出番がカットカットで…ずんくんのアシュレは確かに小奇麗で、馬に乗ってやってきたら「きれいな衣装」を着せたくなるようなアシュレでした。メラニーを喪ってから、短手を頬に宛てて「私もメラニーと共に死んだのです」という表情がまさに恍惚としていて…アシュレの心が壊れた様子が如実に。
メラニーのゆーりちゃんは「神々しい」っていう感じの「神様」でした。みりおんは慈愛に満ち溢れた聖母のようであったけれど、これはやっぱり雰囲気の差かな。バザーの場面の白い衣装が本当に神々しかった…。

ご夫人方+α

ミード博士の美月くんがとても良い紳士でした。これぞジェントルですわ! っていう。ミード夫人のもあちゃんも、あゆみさんのような優しいご夫人で…あーこの夫婦いいわぁ…息子の秋音くんもソロを立派に歌いあげてて、上手いなぁって。お化粧がちょっと扁平っていうか…薄い…? と思ったけどそこらへんは今後なんとでもなっていくよね。度胸大事。
で、本公演だとすごツヨな雰囲気の3人の奥様方。メリーウェザーかなりちゃんは本公演のあこさまよりもパワーダウン(そりゃな)した感じで、「情婦」と言う時もあこさまほど確信犯な雰囲気がなかったかな。エルシング夫人のかけるは流石の演技力でした。さっつんが身長を活かしたしゅっとした未亡人だったのに対して、あえて布団も足してどっしりした雰囲気を出したかける。自分のキャラ…というか、演じやすいシルエットに持って行ったのは流石だと思います。
ワイティングもんちは…いや、可愛かった。本役のてんれーみたいな顔芸もちょいちょいしつつ、感情の起伏が激しいご夫人でした。お聞きになった♪ と歌いながら、かけると「スカーレット!」「アシュレ!」「愛してるわー」って……なんかセリフ増えてる!
ただ、残念だったのはこのご夫人方が出てきた場面での客席のクスクス笑いが…なかなか引かなくて…本公演でも初日近くはそんな空気だったから新公の客層のせいには出来ないんだけど、それにしたってなぁ…

赤いランプの方々

愛ちゃんのベルがこう…なんか見てはいけないものを見てしまったような気持ちにさせられる色気でした。なにあれエロい。特に声がやばい。愛ちゃんの男役声で女装とかヤバイ。愛りくでラブシーン(燃えるアトランタの前の場面)とかほんとに見てはいけないものをry あそこの「およしよ」の一言が超エロかったです愛ちゃん。

バザーなあれこれ

メイベルららちゃんは可愛かったんだけど…お化粧…白くないですか…? あと、声が今ひとつ…しっかり出ていなかったのかマイクに入っていなかったのか…バザーの場面で「いかが!?」と叫ぶあれがちょっとキーンとしたような…ような…。
ルネの和希くんは安定のええ声で、ふるさとを歌い上げたあの場面はとてもいいハーモニーでした。
で、今回私が見たかったチャーリーの瑠風くん。もえこさん。緊張のせいか、おさよちゃんの手を引いて出てきて「25ドル!」っていう声がかすれていたけれど、ニュージェネレーションで真ん中で歌って踊った後のセリフははっきりしていたと思います。…それにしてもヘタレ具合までよく似たチャーリーであったと…。このチャーリーは確実にエルシング夫人の英才教育を受けたファニーの尻に敷かれる。

まぁなんだかんだ言いつつ、今回の新公は娘役がかのちゃんにしてもアリサにしてももあちゃんにしても…が場面をかっちりと締めていたなぁという印象でした。

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