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Kyoto Sanga F.C. & Takarazuka Review and etc.

雪組『ひかりふる路(新人公演)』宝塚大劇場

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綾くんの初主演ということで,どうしても見たくて行って来ました。
今作はワイルドホーン氏の全曲書き下ろし楽曲というだけでなく,本役二人が演技巧者・歌ウマということで初日からものすごい完成度で(その後もいい感じに力が抜けてさらに進化している),新公難しいぞ・・・と思って期待値はそこそこ,だったのですが(この前に見た宙組がとても難しかったので),期待値を大きく上回る新公でした。

個別感想

ロベスピエール:綾 凰華(本役:望海 風斗)

あやなちゃんにとてもお似合いの役でした。だいもんもそうだけれど,あやなちゃん自身もものすごくまじめで,それでいてあやなちゃんの魅力でもあるきらきらした瞳が革命の夢を見たロベスピエール(このあたりは最近スカピンでかいちゃんが歌っていたあの革命の夢とすごく通じるものがあると思いました)に見事に一致していたと思います。アテルイでも思ったけど,まじめで頭がよくて理想を持ってはいるけれどその理想を100%実現することはできないと悟る・・みたいな役柄がすごくお似合いでした。裏返すとあまりハッピーエンド向きではない性質とも言う。あやなちゃんの笑顔には幸せの裏に忍び寄っている不幸がへばりついているような。
登場シーンのせり上がりこそ緊張しているように見えましたが(瞬きが多かった),銀橋に出るころにはもう落ち着いていて,終始声もしっかり出ているし,とても丁寧にメロディラインもなぞっていて音も外さないし・・・満を持して新公主演しただけのことはあると思いました(新公初出演のロスグロで当時から歌いまくっていた琴ちゃんの役をしていただけのことはある)。

マリー=アンヌ:潤 花(本役:真彩 希帆)

ネモでインドの姫をやっていた・・という印象しかなかったのですが,とても素直なマリーという印象でした。本役のきいちゃんがあの学年の新任の娘1とは思えないくらいドスの効いた演技をしているので(闇が深いマリー),より純粋に革命の犠牲者であるような印象でした。
ただ,今作品はなかなかないくらい娘役トップの歌が多いので,まだ長時間(又は多数のナンバーを)歌うことになれていないようで,終盤は声がかすれていた印象です。このあたりはもう経験あるのみだと思うのでなんら不安要素はないというか,そういうもんだよね,と。

ダントン:叶 ゆうり(本役:彩風 咲奈)

強そう(最初がそれか)。本役さん同士だと,咲ちゃんが何を言ってもだいもんの心が揺るがないけれど,あの最後の晩餐の場面でもうちょっとであやなちゃんを「こっち側」に引き戻せそうな感じがあったので,こういう本役さんとは違う力関係が垣間見えるのも新公の楽しさですね。
ただ,やっぱり咲ちゃんと比べて「背中で芝居する」ことにはまだスキル不足なので,咲ちゃんが完全に背を向けて言っている台詞でも振り返る動作が入るなどしていました。でもそれはそれでいいと思う。わざと豪放磊落に振る舞い,ともすれば頭でっかちになりかねないロベスピエールや,理想化なデムーランのバランスをとっていたんだろうなぁ・・というのがよく伝わってきました。

デムーラン:永久輝 せあ(本役:沙央 くらま)

本役のコマさんが上級生なのに末っ子前回でなにこの可愛さ,と思っていたのですが,ひとこのデムーランも理想を大事にする出ムーランでした。この三人,みんな理想と現実のステ振りのバランスが違っていて(デムーランもだけどロベスピエールはダントンよりも理想にステータスを振っていたから時代と戦うときに現実部分のステータスが足りずに対応するために恐怖政治っていう方法を取ったというか),三人でやっているときはパーティでバランスが取れていたんだろうな・・って。

サン=ジュスト:諏訪 さき(本役:朝美 絢)

本役のあーさが日増しにロベスピエールの信者っぷりを増していっていて(もうほんと盲目って言葉がお似合い)どうなることかと思っていたのですが,流石に諏訪くんもまだ下級生のころから(今もまだ下級生だけど)上手くて度肝を抜かれたので(一夢庵風流記の新人公演とか),もはや冒頭の議会で「国王であることこそが罪」と場を動かして歌っていても何の心配もなく・・
新公でもロベスピエール大好きっぷりは変わりなく,むしろ本役のあーさよりも露骨な印象でした。マリーがロベスピエールの目指す未来には同意できないと表明する場面(端的にいえばロベスピエールがふられた場面)ではすごくいい笑顔をしていて,いや,もうちょっと隠さんとロベスピエールに見られてるよ,とも思ったけれど,あのころにはロベスピエールは既に視野が相当狭まっている状況だから見えてないのか,とも。

ルノー:ゆめ 真音(本役:奏乃 はると)

今回の影のMVPというか,MIPが真音くんです。そもそも朝風くんが退団した後のショーでコーラス4人組の中に抜擢されていた時点で期待値ストップ高なわけですが,前回のショーでもワンフレーズソロがあり,ネモでも美声を聞かせてくれていました。
まだ下級生らしく,頬に夢と希望が詰まっている状態(前に月のるねくんが言ってた)で,ニワさんの役でどうなるやら・・と思っていたのですが,意外や意外。ベビーフェイス+髭の似合うこと! 歌にしても,これまであまり出したことがなさそうな低音でしたが,それも特に問題なく(がんばってるな,というのが見えてはいましたが),また,本公演では諏訪くんの新聞売りがやっている場面も真音くんがルノーとしてやっていたために台詞も多く,またそれも聞き取りやすかったです。今後の活躍がますます楽しみな生徒さんですね。

タレーラン:陽向 春輝(本役:夏美 よう)

エロかったです(こら)。どうしてもはっちさんのタレーランは策略家であって,計略で人を動かすわけで,なぎしょに対して手つきが厭らしかろうがいまいち・・色の気配が感じられなかったんですよね。それが陽向くんがやると,まだ若いこともあって・・枯れてない。我慢強いというよりも,野心に満ち満ちてはちきれそうな姿が印象的でした。
タレーランといえば,ナポレオンでも出てくる,いわばおなじみの人物なわけですが,それぞれに違った方向で野望を抱えているのがとても魅力的なキャラクターだと思うので,ロベスピエールがだんだん番手をあげて主演になったように,タレーランももっと注目されていっても面白いのかもしれません。

総括

完成度高かったです。思ってた以上に。
あやなちゃんのご挨拶は初主演とは思えないくらい丁寧で,わざわざ言い直したところも,そのままでも特に支障はないのにちゃんと前後の文節とトーンを合わせたくらいで,この子落ち着いてるわぁ・・と思っていたのですが。が。まさかカテコでは自分(主演)が口火を切らないといけないことを完全に頭から追放していたのか,隣の叶くんにそっと言われるまで若干の間が・・。その後も「あ,私ですか」「すみませんすみません」とにかくぺこぺこしていて,もちろん話す内容なんて完全に飛んでしまっていて,とたんに可愛いあやなちゃん状態。なにこれギャップ萌えか。
この日は本公演のショーでも,ロケットであやなちゃんが出てきたときにものすごく拍手が大きくて,新公がんばれ,って意味合いなんだなぁ・・外からは身内ノリといわれるのかもしれないけれど,こういう宝塚の文化はすごくいいなぁ,と思いました。

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