cella

Kyoto Sanga F.C. & Takarazuka Review and etc.

雪組『一夢庵風流記(新人公演)』宝塚大劇場

この記事はだいたい 853 で読めます

れいこちゃんこと月城かなとくんの新公2回目主演を見てきました。
勝手な印象で、れいこちゃん=(クソ)マジメ(場合によっては潔癖)みたいな役柄のイメージがありまして。れいこちゃんを認識したのが灼熱だったから余計にそうなんかなぁ…
そんなれいこちゃんのイメージは前回の新公でも変わらず(マジメなサラリーマン)、その後の心中でも裏打ちされ(マジメな丁稚)、今に至る(ストイックな影者)訳で、この新公でどんな華々しい傾きっぷりを見せてくれるのか期待しかなかったです。

で、期待は確信に変わりましたね。

幕開き直後のあの映像と合わせた立ち回りの格好のいいことと言ったら…! もちろんタイミングは完璧に合わせてきてるし、最後にタイトル文字を斬ったところで「前田慶次 月城かなと」の新公バージョンの文字が。わっと拍手が沸くのも当然の流れ。
新公バージョンといえば、忘れないうちに書いておくと最後に銀橋で歌った時、アップテンポになってから一旦客席に降り、またラストシーンでえりたんが「散らば花の如く」と言う場面で「方々、まもなく満開でござる。楽しみでござるなぁ!(意訳)」みたいな新公ならではの「まだ満開を迎える前の花々」なセリフに書き換えられていたり…大野くんよくよくわかってらっしゃる。
れいこちゃんの慶次はえりたんを忠実に忠実に写してきたのがわかる立ち居振る舞いやセリフ回しの数々もさることながら、なんせ本人が和物の化粧がとんでもなく似合う。新公主演なんだから華があるのは当たり前なのだけれど、それにしたって終始あの慶次の傾いたド派手な衣装に「着られてない」のが凄い。それでいて聚楽第での「涼やかな武者振り」の説得力もあって、いやぁここまで日本物が似合うっていいねぇ…。
それでもって2回めの新公だなぁと思わされた最初の銀橋。前回、シャルウィ新公では何分「初主演」で音を確認するかのように丁寧に歌っていた印象だったのですが、そもそも慶次がそんな慎重な歌い様では傾奇者らしくないし、音を外したとしても全力で歌って欲しかったところなのですが、音を外す心配なんてなかったですね。すいません。全くいらん心配でした。前回新公で初めてちゃうかくらいに歌った後、心中で毎公演歌っていただけあるわぁ…っていう。
正直、噛んだ部分は終盤でまつとの逢瀬の場面で「野暮な野郎だ」を噛んだだけで、これはれいこちゃんに限らず全体を通してここだけっていう…なんて完成度の高い…。
ご挨拶にしても、2回めでここまで余裕を持てるようになるのかと。自分の事だけでなく、他のメンバーにも話題を広げられる余裕を感じました。前回、涙をたたえてれいこちゃんを見ていた同期の天月くんも今回は(隣のあんりちゃん共々)いい笑顔でした。

奥村助右衛門役で初の二番手をやった永久輝せなくん。涼やかな武芸者ぶりは本役さん踏襲でした。歌が上手いのは知っていたけれど、如何せん「初銀橋ソロ」だったのかな。ちょっとブレたかなー…という印象。多分東京ではビシッと決まるハズ。
それでもあの「莫逆の友を切るなど、生涯一度きりの事だ」とくずおれる場面だとか、芝居面ではとっても…とてもよかった…(´;ω;`)ブワッ

有沙瞳ちゃんのまつはあゆっちのまつよりも凛々しい印象でした。声質のせいかな。
歌舞伎踊りの衣装から次の小袖への着替えが時間足りなかったのか、本公演とは違った帯の結びというか…崩れてたように思えたのは気のせいかな…あんなにだらりではなかったと思うのだけれど。
…ていうか当たり前のようにこなしてたけど新公初ヒロインっていうことに終演後に気づきましたよね。ええ。

冒頭一発目のセリフを請け負ったたっちーこと橘幸くん。たっちーがなぎしょの役をやるのは仮面の男ぶりかな? 和物だからか益々なぎしょに似てるなぁ…という印象でした。これまた終始しっかり声が出ていて、利家に対して「伏して言上仕ります!」のとこ格好良かったなぁ…。

そんな主馬の兄、雪丸はカリさんこと煌羽レオくん。…かりさんがまっつの役をやるのももう何回目だろう。目元とかとても似ているからそのまままっつを写したような雪丸でした。それにしてもかりさんが「何をすべきかはこの傷が教えてくれる…」とか言うととても中二感が半端ない。いや、まっつが言ってても大概なセリフだとは思ってたけど。

今回は95期の芝居巧者が舞台をぐっと締めてたと思うのですよ。
まずは利家役の天月翼くん。天月くんを個別認識したのもこれまた灼熱だったんだけど、なんだこの小顔の頭身半端ない→歌ウマだなぁ→芝居も上手いなぁ…とここまできていたので、今回の利家のコメディ要素がどうなるかなーと楽しみにしてたのですが。
完全に期待値の遥か上でした。
いや、ほんと軽く見ててほんっとすいませんでした。
れいこちゃんとの同期芝居の安定感たるや…しょっぱなから肝心の水風呂の場面、ものすごくコミカルに演じた上で、小姓に「早く(毛皮を)かけろ!」とアドリブを挟む余裕っぷり。聚楽第ではこれまた顔真似つきで「猿じゃ猿じゃ~」とやり、柳川の芸者相手には「どっちも★」みたいにいきなりきゃぴっとして見せたりで…なんてお茶目な利家だ…!
この芝居のコメディ担当なのをよくよく踏まえた上で、芝居を壊さない顔芸声芸…いや、上手いわ、ほんとに。
そんな天月利家は本役さんよりも助右衛門に助けを求める場面が多かったんだけれど(聚楽第とかで「助右衛門行ってしまうのか…?」とか)、「すけえもんーすけえもんー」と連呼するのを見ていると…こう…「助けてドラえも~ん」にしか見えないというか。…まぁドラえもんとちがってスケえもんはこれっぽっちも助けてくれない訳ですが。

もう一人、同じく95期の秀吉役の桜路薫くん。
おーじくんといえばどちらかと言えばダンスの人…と思ってたんだけど、太閤殿下の初登場の歌声がとんでもなく安定していて、その後も太閤の存在感が半端無かったんですよ。場をきっちり締めてました。
専科さんの役といえばベルばらに続いてなんだけど、それでもアレと比べると全然…違和感なかった…なんなんだ、ベルばらが難しすぎるのか。

若手芝居巧者の代表格みたいだったホタテが新公卒業して、これからの雪組新公オジサマ組はどうなんかなぁと思ってたけど95の二人ががっちりその穴を穴と思わせないくらいに埋めてました。いやーすごかった。

そしてその後ろからまた新たな芝居巧者の姿が…

家康役の真條まからくん。次郎三郎で出てきた時の第一声から…あれ? この子何期だったっけ…? 歌声とか芝居とかセリフ回しとかヒゲの安定感とかもうどれを取っても研3とか嘘だろ…。とんだ学年詐欺にあった気分ですよ(褒めてる)。98もまたスターゴロゴロなんだろうか…末恐ろしいな。

芝居巧者といえば忘れてならないのが久城あすくん。
あすくんが出てくると役柄も相まって場が締まる。ぴりっと。体格も大きくはないし、声を張り上げるでもないのに全員の耳目を集めるあの存在感ってなんなんだろう。
そんなあすくん、長の挨拶もしたんだけれど…こう…えりぃが新公の挨拶をした公演を思い出すと…もうそんな月日が過ぎたのかと思う一方で、すっかり「しっかりもの」と認識されてるあすくんだけに挨拶の安定感は…え、ほんとに長の挨拶初めてなの? またまたご冗談をー…ってなる挨拶でした。流暢すぎた。

それから願人坊主の諏訪さきくん、…研…2…だと…!? すっかり男役声で堂々たる歌いっぷりで…対を組むのがみゅーちゃんだからどうしても(みゅーちゃんと比べて)まだ下級生だなぁと思ってしまいがちなんだけどラインナップですっごい端にいるのを見て…え、研2…でアレ!?
…末恐ろしいな!(リプライズ)

今回一番頑張ってたと思うのが重太夫をやった真地佑果くん。上手いか下手かという話になると、「騒々しい」になるんだけど(質問の答えになってない)。必ずしも上手いとは言えなくて、実際すっごい荒削りなんだけど、それに度胸と勢いを足したらとてもいい「洗練されてない」傾奇者が出来上がってました。
そんな真地くんのアドリブ、御土居で慶次に瓢箪を押し付けられて、「飲んでいいぞ」と言われた場面(本公演だとともみんがいろいろアドリブかましてる場面)でさんざんブチブチ文句を言うんだけど、ほぼ姿見えなくなるような位置に行ってから超ローテンションで「やったー」と聞こえてきたのが私的にツボでした。完全に油断してたwww

そんな重太夫の姉…肝っ玉母ちゃんならぬ肝っ玉姉ちゃんだった星乃あんりちゃん。
もうね、あんりちゃんは新公で何をどうこうっていう次元の話じゃないのよね。ちょっと情けない弟を「ったくしょうがないわね!」と引っ張っていく肝っ玉姉ちゃんでした。多分あの重太夫、小さいころにこの姉ちゃんに土手から突き落とされるくらいのことはやられてる。

後は偸組の加賀(天舞音さら)と国(杏野このみ)の二人。本公演だとヒメとゆきえさんが銀橋で歌ってるだけなんだけど、新公ではこの二人をより客席に近く、階段に足をかけるくらいまで前に出してくれて、顔見世…なのかなぁ…
さらちゃんの加賀はヒメと同じくとんだメンヘラ女で、…いや、顔が可愛いだけに怖いよ…とても。

どうでもいいけど人非人みたいな扱い上等な忍なのに許嫁とかそんな御大層なモンがあるんやろうかとは本公演見た時から若干気になってる。

でもって初舞台生の頃から可愛いと内輪で評判だった星南のぞみちゃん。もっと可愛い声で捨丸を演じるのかと思っていたら、割と…勇ましいというか凛々しいというか、キリッとした声でしたね。しかしあの色街での斬り合い、飛び込んでくる捨丸の、それこそ捨て鉢な刀の振り回し方がなぁ…捨丸って偸組の中では本当に下っ端で、使い捨てられるくらいの扱いだったのかなぁ…弱いし(弱ければ死ね、みたいな世界だと勝手に思ってる)。

あとはおねねさまやってた寿春花果ちゃん。人数少ないせいで北条氏規に銃口を向ける場面では小姓と上臈がどこからとも無く取り出した火縄銃(聞けば上臈は目の前に座ってるおねねさまの裾から出してたらしい)(なにそのスカートの中の拳銃みたいな)を向けてたんだけど、あだちゅう、この上臈の火縄銃を奪い取って「うちの殿様をなめるでねえが!」みたいなタンカを切ってました。なにこのおねねさま格好いい。
そしてそれに一切動じないおかかさま。
おかかさまマジおかかさま。

そんなこんなでいつものことながら雪組はこの先10年安泰だなぁ…と思った新公でした。
…これが最後の新公になってしまう面々は寂しいなぁ…。

にほんブログ村 演劇ブログ 宝塚歌劇団へ

Pocket


Leave a Reply

Your email address will not be published.

CAPTCHA