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Kyoto Sanga F.C. & Takarazuka Review and etc.

魔女の秘密展

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大阪文化館(旧サントリー美術館)で開催中の魔女の秘密展に行ってきました。どうせ土日は混むだろうからと平日狙いです。


まず入り口にこういうフォトスポットがあってですね。
チケットもぎりのスタッフは三角帽子被ってるし、声のトーンは抑えめだし、音声案内には黒い三角帽子がついてくるっていう…雰囲気作りとしてはアリだと思う。しかも私が行ったのは平日だから空いてたから気にならなかったんだけど、これ、混雑してたらすげー邪魔じゃね? という一抹の負担感。


展示の流れはまずこういう展示ではよくある映像コーナーから。2方向スクリーンで前の人の頭で映像が見えないという事態にはなりにくい設計。床に五芒星がライティングされてたりの雰囲気出しもあり。
ただ、この映像コーナーはほんとに「導入」。ロングCMに近いかも。3分程度で展示の流れをざっくり紹介するのみ。これからタイムスリップして云々、という展開ではあるけれど、あまりそういう(タイムスリップして追体験)みたいな要素は一カ所除いてなかったかな、と。

第1章 信じる

この部分で考えることは似ているな、と思ったのは「飲む護符」何が似てるって、私が小さいころ、比叡山…というか横川の良源の鬼の姿の御札を千切って、薬として飲む…ってのをリアルにやってたんですよ。いやマジで。なので呪術的な模様の描かれた紙を飲むっていう行為は非常に納得が行くというか、考えることは似てるなぁ…というか。
でもってもぐらの手のお守り。もぐらは暗がりでも目が見えて進むことが出来るから暗中突破のお守りだそうで。なるほど。太陽の下では目がくらむという面ではなく、暗闇を進む方をピックアップしたお守りなのかと。

第2章 盲信する

憎むべき対象として「魔女」の存在が必要とされ、またそれが拡散するようになった時代。特にこの「拡散」っていうのが興味深いな、と。例えば印刷技術だとか、戦争による人口(と情報)の大規模移動だとか。均一の情報、言い方はアレだけど、大本営発表みたいなものがあまねく伝わるようになることで、レッテル貼りされた魔女の存在が一気に広まっていったのかなぁ、とか。

ドイツでの魔女狩りを拡大させた30年戦争(1618〜1638)、いつ頃のことかピンとこなかったので(日本なら江戸時代初期)、ヅカオタあるあるでどの辺の時代か確認してみたら…フランスだとアンリ4世からルイ13世の頃か。スペインだとフェリペ2世の治世が終わったすぐ後の時代。

第3章 裁く

所謂魔女裁判に関する部分。
異端審問というか、尋問の部分はだんだん人格否定されていく過程が映像(と音声)で、客が糾弾される側に経って進んでいくので、ここだけは「疑似体験」と言えなくもないかな、と。ただ、狭いところで次々に音声が聞こえてくるので聞き取りにくかったり、隣の音声と被ったり…まぁ口々に糾弾されているようといえばそうか。
拷問器具については3点ほど、それから拘束具。
魔女を火炙りにするのは火で魂を浄化し、また復活を阻止するために灰にする…確かキリスト教では復活のために火葬せずに土葬なんだよね? そういう意味では魂は浄化するけど肉体の復活は許されないのか、とか。火で浄化するっていう考え方自体は洋の東西を問わないな、とか。
生きたまま火炙りにするのは酷だから「人道的に」首を落としてから焼くとか聞くと、魔女を(見せしめに)殺すことが主目的じゃなく、本当に魔女という存在を恐れていて、とにかく復活しないように、存在を抹殺することが目的だったんだな、と。つい反キリスト教的な存在を殺す、デモンストレーションみたいに思いがちだけどそうじゃなかったんだ、みたいな。
魔女裁判自体には反対しながらも、魔女(悪しきもの)を火で浄化することには大賛成な学者とか、なかなか当時の認識がかいま見えるようで興味深いですね。

第4章 想う

魔女裁判が終わり、魔女が再評価され始めた頃の絵画等。
再評価されて一気に地位を挙げて、ハリーポッターの大ヒットもあって魔女へのマイナスイメージどころかプラスのイメージになったなぁ…と。最後の安野モヨコとかの魔女イラストからも、魔女ってすごく好意的な言葉…を通り越して安っぽいな、とも最近思うのですが。美魔女とかね。

総括っぽいの

もっとこう、中世と死、メメント・モリみたいな要素もあるのかと思ったけれど、そういうのはなかったですね。

それにしても魔女狩りが近代化に向けて「民主的な裁判制度」が出来たせいで加速していったというのはなんとも皮肉だなぁ…

専制君主が独断で処刑出来なくなった
→誰でも裁判を受ける権利がある
→裁判で処刑まで持って行くには証拠がいる
→けどそもそも魔術行為の物的証拠とか無理
→よし証言と自白
自白を引き出すための拷問はおっけー

魔女裁判はファンタジーではなく、結果ありきで裁判やるとこうなるという反面教師なんだと。なまじ民主的だから集団ヒステリーに押し切られる恐怖。一億総告げ口社会な現在とそういう意味では似てるのかもなぁと。

それにしても天候魔女が一番恨まれて(農耕社会だからある意味当たり前か)密告されて処刑されていったというから所謂「雨男」「雨女」は真っ先に殺されていったということですかねぇ…と近くの雨男を数人思い浮かべてみたり。
魔女の起こす天災(として描かれてるもの)が「雹」ってのは農作物にダメージ与える天災の代表だからか。雨はダメージばかりではないし、霜は表現しづらいし、雪の時期は農作物育ててないし(そもそもドイツってどれくらい降雪するんだろう。日本ほど豪雪ではないだろうけど)。

ミュージアムショップはわかりやすく魔女っぽいグッズが並んでたり。
ヨーロッパの魔女イメージ=天変地異・病気
日本の魔女イメージ=占い
ってのがとてもよくわかるラインナップでしたね。いやほんとに。
日本では天変地異とか病気は確かに「怨霊のせい」とかひとのせいにされてるけど、でも誰かが操った結果ではなくて、「怨霊そのもの(道真公とか)」のせい、って考え方だったからそういう「病魔を使役する」っていうイメージが上手いこと輸入・定着しなかったのかな、とか。そもそも疫神は疫神として忌避するんじゃなく丁重にお祀りするのが日本人だし。
その一方で、占いとか呪文とかは神道や陰陽道で似たようなイメージがあるから定着しやすかったんだろうか。

外のカフェで関連メニューが出てたので食べてみました。

魔女のごちそう。

…いや、このカフェさぁ…前からナイフとかフォーク使い捨てタイプだったっけ? 自分で分類して始末するような店だったっけ…? なんか予算切り詰めの現場がリアルだったわぁ…。

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